<多様性を知るということ>
益々マネジメントの質が求められるようになる中で、
なぜ行動を分析する必要があるのでしょうか?
人の価値感はもともと多様なものなのですが、
これまでは「同じ方向を向いて進める人」を良しとし
そうなるように教育や環境の中で育てる、という傾向があったので
その人がどういった個性・価値観を持つのか?は
あまり気にされることがありませんでした。
しかし2000年以降、「個性を活かす」時代に入り、
働き方・活かし方にもその価値感が入ってきました。
そういった流れから、その方の多様性をどのように知ろうか?という
行動分析が始まりだしました。
<行動から見えるその方の行動を起こすもと>
人は必ず行動を起こす上で、その動因となるものがあります。
人それぞれなのですが、必ず傾向があります。
例えば、1日をどう過ごすか?
「人と常に関わりたいと思う人」と「一人で過ごすのが好きな人」では
その時間の使い方に違いが出てくるでしょう。
マネジメントでも
「皆を集めて語り合いたいと思う人」と
「細かなことまできちんと指示することを可視化して渡したい人」
がいらっしゃいますよね。
目的や目指すゴールは一緒であっても、どういう行動をとるか?は
それぞれが無意識のうちに、自分が起こしたい・起こしやすい行動を取るものです。
その行動傾向を分析しわかりやすくしてくれるのが「DiSC」になります。
無意識の行動&言動から、その行動の動因が何からくるものか?を察していくことができます。
<DiSCは、どのように組織で活用すると良いのでしょうか?>
一つはチーム力の強化、チームビルディングに有効だと考えます。
何かプロジェクトを推進する際に、
生産性やプロジェクト内のコミュニケーションはとても重要になります。
「お互いを理解し合い仕事を進める」ことが大切なことだということは
もちろん、皆さん既にお分かりだと思います。
しかし、その理解を深めていく中で
「自分とどこが乖離しやすいか、どこが共有しやすいか?」となると
表現や言動から受ける感情が左右して、物事の本質がつかめなくなることなどもあります。
そのような時に効果的なのが、DiSCです。
DiSCを通すことで、それぞれが仕事で大事にすること・優先することを
お互いの行動&言動から知ることができますし、
同じ目的を持ちながらもメンバーの行動がそれぞれ変わってくる理由を、理解できるようになります。
例えば・・・新しいプロジェクトを立ち上げた際、
しっかり細かな計画やリスクまで出して進める方もいれば、
とりあえずやりながら考えて行こうという方もいらっしゃいます。
最初にリスクを出すタイプの方からすれば、
いきなり取り掛かろうとする方は、とても危険で無駄が多いように見えます。
一方で、すぐ取り掛かるタイプの方からすれば、
「なんて慎重なんだろう」「そんなことでは着手が遅くなってしまう」
と感じるかもしれません。
というようにタイプが違う両者も、お互いの行動特性を認め合えば、
すれ違いではなく、妥協案が見つかっては来るのではないでしょうか。
感情の揺れも無駄に発生することもなく、
お互いがいい塩梅のところで、目的ありきで進められるのではないでしょうか。
<もう一つのDiSCの活かし方>
もう一つは、部下育成や部下のマネジメントです。
リーダーとしての自分の無意識な行動&言動が
部下にとっては負荷になったり、
理解できないこと・尊敬できない原因になってしまうことを防ぐことができます。
先ずはリーダー自身の行動&言動の「動因」を知る自己理解です。
自分で、自然に起こしてしまうマネジメント傾向を理解しているかどうか?は
かなり差として出てきます。
例えば、マネジメントにおいて
「行動はすぐすべき」という価値観の上司は
何か指示を出した時に、動く前にまずは色々確認してきたり
懸念=ネガティブなことを言ってきたりする部下に対して
「なぜすぐ動かないんだ!」と思ってしまいがちです。
この部下は
「事前に細かくちゃんと聞いて、ミスを減らしたい」
「不安要素をなくし、理由を理解してから動きたい」
と思っているかもしれません。
なのにリーダーが
「そんな細かなことは今いいんだよ!」と一喝してしまったら?
その部下の気持ち・やる気を削いでしまうことにもなりかねません。
そこでDiSCを通して、まずは自分の行動&言動の傾向を知り
自分のマネジメント全てが正解ではない、ということを知りましょう。
その上で、部下の行動&言動から理由を知り、
その部下への指示の出し方、権限委譲、モチベーションの高め方など
マネジメントにおける多様性を身につけると、
リーダーとして信用もされますし、自分自身のマネジメントスキルの向上にもつながります。
自己理解と他者理解。
その理解を深められるのが「DiSC」であり、
特に「チームビルディング強化」「部下のマネジメント強化」が必要な
組織において、とても有効に使えると考えています。
今回、著書「行動傾向分析で磨く 個性を活かすリーダーのコミュニケーション」では
その詳細をかなり事例を入れ紹介しています。
ぜひその部分もご参考にしていただけますと幸いです。